プルースト、美術批評と横断線 荒原邦博

PROUST, LA CRITIQUE D'ART ET LA TRANSVERSALITE
美術批評家たり得なかったプルーストの批評的言説、そこに引かれた幾本もの<横断線>の働きを解き明かすとき、テクストは新たな相貌を見せはじめる。ドゥルーズの概念を作家の実存的な帰結として捉えなおす、プルースト研究の俊英による刺激的論考!(帯文)

目次
序章 絵画と横断線 プルーストと絵画の問題はどう論じられてきたか
第1章 「ゲルマント家の夕食会」における絵画の挿話の生成過程
 序「ゲルマント家の夕食会」と草稿資料
 1 コレクションの鑑賞と公爵夫人の言説(「カイエ41」表)
 2 公爵の見解(「カイエ41」裏)
 3 ゾラとマネの萌芽(「カイエ43」)
 4 エルスチール・コレクションの発展(清書原稿 N.a.fr. 16705)
 5 ゾラの重点化と公爵夫妻の見解の推移(清書原稿 N.a.fr.16706)
  5.1 ゾラに関する三つの変化
  5.2 エルスチールに関する諸変化
 6 公爵夫人の言説の展開(清書原稿 N.a.fr. 16707)
 結 生成過程における五つの変化
第2章 マネをめぐる社交界の会話とその美学的展開 『ゲルマントのほう』における美術批評(1)
 序 マネの絵画、あるいは美術批評としての社交界の会話
 1 美術批評家ゾラの「肖像」 マネと印象派をめぐる弁護と逡巡
 2 主題、あるいは「絵画の自律」としての静物画の誕生
  2.1 主題
  2.2 「絵画の自律の宣言」
  2.3 アカデミーの規範
  2.4 『作品』から『失われた時を求めて』へ
 3 「仕上げ」不在の絵画
  3.1 仕上げ
  3.2 エルスチールのハルス的側面
 4 <ミス・サクリパン> ブランシュ「マネに関するノート」(一九一二)の余白に
 5 マネと近代美術館の誕生 リュクサンブール美術館とベルリン・ナショナル・ギャラリー
 6 ルーヴルに入った<オランピア>、あるいは新たな源泉としてのゾラ「絵画」(一八九六)
 7 古典的な画家、マネ
 結 マネの絵画、あるいは鑑賞者の位置
第3章 十九世紀後半におけるルーヴルの文学的表象と美術館の概念 ゾラ・プルースト・美術館
 序 文学テクストと美術館、あるいはアドルノと二つのルーヴル
 1 美術館の中心
 2 中心から周縁へ、あるいは新たな資料体としての一八九五年の三つの芸術雑誌
 3 商業的価値の隠蔽
 4 美術館における/の死
 5 ルーヴルの変貌
 結 ヴァレリー・プルースト・美術館、あるいはプルーストと二つのルーヴル
第4章 モローをめぐる社交界の「さかしま」な言説とその美学・科学・制度的問題
 『ゲルマントのほう』における美術批評(2)
 序 斬首の光景
 1 純潔と悪徳
 2 男性・女性
 3 詩人の表象と性的倒錯の概念
 4 さかしまなセイレン、あるいは新たな源泉としてのユイスマンス『さかしま』と「ゴブラン」(一九〇一)
 5 神秘の小鳥と個人美術館の誕生
 結 ヴィジョン・キャピタル
第5章 ドガの美学・政治学的問題と世紀転換期の絵画「理論」 ドガ・ダンス・プッサン
 序 ヴァレリーのドガからプルーストのドガへ
 1 肉体と色彩 ユイスマンスにおけるドガのダンス
 2 ダンス・蒸気船・競馬
 3 ドガ・ダンス・デッサン ブランシュ「現代絵画に関するノート」(一九一三)の余白に
 4 「美術」と「国家」の分離 第三共和制におけるローマの「美術」
 5 ドガ・ドニ・プッサン、あるいは新たな源泉としてのドニ『理論集』(一九一二)
 結 「理論」から「生」へ、あるいは不断の生成としての美術史
終章 世紀と横断線、あるいは不断の生成
あとがき
図版一覧
参考文献一覧

人名・絵画作品名索引

装幀=清岡秀哉

出版社 publisher:左右社
刊行年 year:2013
ページ数 pages:394
サイズ size:B6
フォーマット format:ハードカバー
言語 language:和文
付属品 attachment:カバー、帯
状態 condition:新品です。
Overseas shipping available. If you would like to order the book please contact us directly by email or via online inquiry form.
我們提供海外郵寄服務。若您欲購書請直接來信或填寫線上表單