現代アメリカ版画の40年 巨匠たちと版画工房ULAE Proof Positive

Proof Positive: 40 Years of Contemporary American Printmaking at ULAE, 1957-1997

1998年にセゾン美術館で開催された展覧会カタログ。1960年代に始まる版画リバイバルの機運の中で、いち早くこのメディウムに着目したのは、ジャスパー・ジョーンズやロバート・ラウシェンバーグ(1925-2008)、ジム・ダインといった当時新進気鋭のアーティストたちだった。そんな巨匠たちとのコラボレーションを通して、数々の優れた作品を制作したのがアメリカの版画工房ユニヴァーサル・リミテッド・アート・エディションズ(ULAE)である。本書はULAEの40周年記念して1997年にアメリカ・ワシントンで開催された同名展覧会の日本展として企画されたもの。


ロシア系移民タチアナ・グロスマン(1904-1982)とアーティストであった夫モーリスによって、1957年ニューヨークのロング・アイランドで創立。当時新進気鋭の若いアーティストを工房へ招待し自由に版画制作にあたらせた。一度に一人以上は招待することなく、くつろいだ親密な雰囲気の中で、アーティストに版画の手ほどきをし、版画の可能性を探らせ、労をいとわず、革新的な作品の制作を推奨した。独創的な雰囲気の中、プリンターとアーティストがともに難題解決にあたりながら、アーティストの描いたイメージの具現化を行い、つぎつぎと新しい作品を発表している。タチアナはアートと文学の結合を目指し、アーティストと詩人によるコラボレーションによる、いくつかのユニークなプロジェクトを実現した。また彼女は適切な紙の選定を厳密に行うことでも知られていた。入手可能な紙が限られていたために、エディションの数が自動的に決められたこともあった。決して商業ベースには陥らず、芸術的感性に満ちた丁寧な仕事が、創立以来の高い評価の維持を可能にしている。
ULAEの名を一躍有名にしたのは、1960年以降ジャスパー・ジョーンズが<ターゲット>をはじめとした一連の作品を制作し、また1963年にはラウシェンバーグの<アクシデント>がリュブリアナ国際版画展でグランプリを受賞、1964年にはニューヨーク近代美術館でウィリアム・リーバーマンによって組織開催された「新しいリトグラフ作家としての現代画家」展の出品作品のほとんどがULAE制作の作品から選出されたことである。
工房は1982年タチアナの死去後、同工房のマスター・プリンターを務めていたビル・ゴールドストンによって引き継がれ、その精神を保ちつつ若い世代の作家とともに制作活動を展開している。

目次
あいさつ
ULAE40周年に寄せて ジャック・コワート
ターニャ・グロスマンとULAEに関する思い出 トニー・トウル
ULAEのアーティストたち 1982-1996 スー・スコット
図版/PLATES 1957-1997
作家解説
出品リスト
版画の種類と技法・用語解説

編集:セゾン美術館、林牧人、土田久子、岡しげみ
デザイン:梯耕治

出版社 publisher:セゾン美術館/Sezon Museum of Art
刊行年 year:1998
ページ数 pages:219
サイズ size:H250×W188mm
フォーマット format:ハードカバー/hardcover
言語 language:和文/Japanese
付属品 attachment:
状態 condition:表紙少反り、背少ヤケ/slightly sunburned on the spine of the cover.
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