Lucie Rie: A Retrospective
ルーシー・リー展

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1902年、生活の中に新しい芸術が香り、洗練されたデザイン感覚の息づくウィーンに、ルーシー・リー(1902-1995)は生まれた。幾何学模様の美を追求したウィーン工房ともつながりの深い、ウィーン工業美術学校に入学した彼女は、一般美術コースを取っていたが、陶芸の最初の授業で、ロクロの「とりこになってしまった」と語っている。卒業後も制作を続け、さまざまな国際展に入賞を果たし、着実に地位を固めていった。ところが1938年、36歳の彼女は、ナチスの台頭によって、すべてを棄ててイギリスへ。戦中戦後の厳しい時代を、異国で一人、ガラス工房のボタン制作を手伝うことなどを余儀なくされる。最初の個展を開いた時には、すでに47歳になっていた。しかし、イギリスへ渡ったことは、彼女の転機でもあった。バーナード・リーチ(1887-1979)をはじめとする陶芸家たちと出会い、ドイツから逃れてきたハンス・コパー(1920-1981)と親交を結び、次第に彼女独自の世界を開花させていった。1990年88歳で脳梗塞に倒れるまで、ただただ一途にロクロに向かい続けた彼女は、大英勲章を受勲し、ニューヨークのメトロポリタン美術館でハンス・コパーとの二人展を開催するなど、陶芸界に多大な影響を与えることになった。生涯にわたる伴侶を持たず、規則正しく毎朝5時に起きて、陶芸の神秘に挑み続けた彼女は、芸術家と呼ばれることを拒み、「私は、ポットを作っているだけ」というのが口癖だったという。本書は2010年から2011年にかけて、国立新美術館(東京)→益子陶芸美術館(栃木)→MOA美術館(静岡)→大阪市立東洋陶磁美術館→パラミタミュージアム(三重)→山口県立萩美術館・浦上記念館を巡回した大規模な展覧会のカタログ。

目次
ルーシー・リー論 伝説の解剖と工芸的造形 金子賢治
カタログ
1. 初期 ウィーン時代 1921-38年
2. 形成期 ロンドン時代
3. 円熟期
ルーシー・リーの現代性 出川哲朗
ウィーンからロンドンへ ルーシー・リー、連鎖する創造 北村仁美
ルーシー・リーの制作技法について 小山耕一
関連年表
外国語主要文献
邦語主要文献
作品リスト

デザイン:今井千恵子(n.b graphics)
制作:コギト

出版社 publisher:日本経済新聞社/Nikkei Inc
刊行年 year:2010
ページ数 pages:333
サイズ size:H206×W205mm
フォーマット format:ハードカバー/hardcover
言語 language:和文/部分的に英文-Japanese/English in some parts
付属品 attachment:
状態 condition:経年並みです。/good.
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