エミリー・ウングワレー展 アボリジニが生んだ天才画家 Emily Kame Kngwarreye
Utopia: the Genius of Emily Kame Kngwarreye
オーストラリア先住民族のアボリジニの出身であるエミリー・カーメ・ウングワレー(1910年頃-1996)は、オーストラリア中央部のユートビアと呼ばれる砂漠地帯でその生涯を送った。ユートピアはアリス・スプリングスの北東230キロメートルに位置する。エミリーの作品は、ユートピアに隣接する彼女の故郷アルハルクラの土地に深く根ざしており、彼女は終生、儀礼や歌、踊り、絵画制作を通じてアルハルクラを称えた。数十年にわたり人間の身体や砂の上に装飾的な模様を施していたエミリーは、1977年からこれらをバティック(ろうけつ染め)によって表すようになる。1988年からはキャンバス画を手がけ、最初のキャンバス作品「エミューの女」は美術界に大きな衝撃を与えた。以後亡くなるまでの8年の間に3000点から4000点ともいわれている彼女の作品群は、国際的な賞賛を浴び、オーストラリアを代表する作家として認知されている。本書はオーストラリア国外としては初となる大回顧展のカタログ。国立国際美術館(大阪)と国立新美術館(東京)を巡回した。
因にエミリーは1910年頃に生まれ、1996年9月2日に亡くなった。没後一定の期間は故人の名前を口してはならないというアボリジニの慣習により、以後しばらくは彼女の名前は伏せられた。この慣習への敬意を表すため、彼女の名前を語る際にはその綴りが度々変更されている。この綴りの改変は一般的に認められたものではないため、彼女の名前の綴りが他の出版物とは異なる場合がある。エミリーは自身が亡くなった場合には、プロの作家として生きた証として、展覧会や出版物において彼女の名前が完全な綴りで表記されることを望んだ。この遺志を受け、エミリー・カーメ・ウングワレーという作家名は、オーストラリア全体の遺産として永遠に存在し続けることとなった。本カタログはこうした事実を踏まえ、彼女のプロとしての作家名を冠して刊行されている。
目次
意味のしるし エミリー・カーメ・ウングワレーという天才 マーゴ・ニール
エミリーを見続けて 追想 トニー・エルウッド
描かれた夢と大地 西野華子
ドリーミングという名の絵画
西欧文化圏内における非西欧文化圏から生まれ出た祝福された表現 中井康之
インポッシブル・モダニスト 建畠晢
カタログ
原点
点描
色彩主義
身体に描かれた線
ヤムイモ
神聖な草
ラスト・シリーズ
ユートピア
地図
用語解説
出品リスト
年譜
展覧会歴
文献目録
謝辞
出版社 publisher:読売新聞東京本社/The Yomiuri Shimbun
刊行年 year:2008
ページ数 pages:253
サイズ size:H291×W228mm
フォーマット format:ハードカバー/hardcover
言語 language:和文/英文-Japanese/English
付属品 attachment:カバー/dust jacket
状態 condition:カバー少傷みあり。/Slightly damaged on the dust jacket.