WHAT I AM DOING by Eiko Yamazawa
私の現代 山沢栄子

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本書は2019年から2020年にかけて西宮市大谷記念美術館と東京都写真美術館で開催された写真家・山沢栄子の回顧展の関連書籍。1970年代から80年代に手がけたカラーとモノクロによる抽象写真シリーズ「What I Am Doing」を中心に、抽象表現の原点を示す1960年代の写真集、戦前の活動を伝えるポートレイトや関連資料など158点の図版を収録。女性写真家のパイオニアとして知られる彼女の数少ない書籍。

日本の女性写真家のパイオニア、山沢栄子(1899-1995)は1899年に大阪に生まれ、幼い頃から絵が好きで、当初は東京女子美術学校の日本画を専攻していた。しかし日本画の勉強に専念する傍らで、西洋文化への関心も手伝い、女子美術学校卒業後は英語を習うためにYWCAに通った。そうした中、平塚らいてうの女性解放運動などにも関心をしめし、彼女の頭の中には女性の自立といった意識が根幹に芽生え始め、とうとう1926年には27歳で単身アメリカへと渡る。
アメリカでさらなる絵の勉強をするために彼女はカリフォルニア・スクール・オブ・ファイン・アーツに留学した。しかし、たまたま下宿先の近くにあった写真屋に立ち寄ったところコンソエロ・カネガ女史(Consuelo Kanaga 1894-1978)の助手になり、山沢の人生は一気に写真へと向っていく。当時のアメリカの写真界は、アルフレッド・スティーグリッツ(1864-1946)を中心にアメリカの近代写真勃興期でもあった。
カネガ女史から人物の内面までも撮るポートレイトへの姿勢とライティング技術などを習得し、世界恐慌が起きる1929年に彼女は日本に帰国し、大阪に写真スタジオを開設する。本格的に写真を職業として活動を始めた。1930年代から40年代にかけて彼女はスタジオ写真や舞台写真をこなし、着実にキャリアを積むも、1955年にニューヨークへ取材旅行に行き、この頃からアブストラクト写真へと彼女の意識が変革していった。彼女の創作意欲は年を重ねても衰える事を知らず、1984年に大腿骨を骨折してしまいカメラを扱う事ができなくなっても。なお紙を用いたペーパーコラージュの作品も制作している。彼女はとにかく亡くなるまでその創作意欲の衰えない驚異的な好奇心の持ち主だった。

目次
Chapter 01 私の現代
Chapter 02 遠近
Chapter 03 山沢栄子とアメリカ
 コンスエロ・カナガと『カメラ・ワーク』
 コンスエロ・カナガの手紙
 西海岸の写真家たち
 イモジェン・カニンガムの手紙
 「イモージン・カニンガム女史の思い出」山沢栄子
 アメリカの広告写真
Chapter 04 「写真家」山沢栄子
 ポートレート
 「話しながらパチリ」
 「写真工房から」山沢栄子
 疎開中の写真
 「山沢先生を語る」浜地和子
 商業写真
 「女流写真家として40年」山沢栄子
Chapter 05 参考資料
 「山沢栄子の『ひとつの道』」池上司
 「山沢栄子とアメリカ近代写真」鈴木佳子
 山沢栄子年譜
 主要参考文献
 作品リスト

編集・執筆:池上司、鈴木佳子
造本設計・デザイン:大西正一
印刷・製本:ライブアートブックス
印刷設計:川村佳之、芝野健太
プリンティング・ディレクター:石原史義

出版社 publisher:赤々舎/Akaaka Art Publishing
刊行年 year:2019
ページ数 pages:222
サイズ size:H297×W210 mm
フォーマット format:ハードカバー/hardcover
言語 language:和文/英文-Japanese/English
付属品 attachment:帯/wraparound band.
状態 condition:帯少傷み。/slightly damaged on the wraparound band.
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