Eiko Yamazawa: FAR AND NEAR
遠近 山沢栄子

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日本の女性写真家のパイオニア、山沢栄子(1899-1995)は1899年に大阪に生まれ、幼い頃から絵が好きで、当初は東京女子美術学校の日本画を専攻していた。しかし日本画の勉強に専念する傍らで、西洋文化への関心も手伝い、女子美術学校卒業後は英語を習うためにYWCAに通った。そうした中、平塚らいてうの女性解放運動などにも関心をしめし、彼女の頭の中には女性の自立といった意識が根幹に芽生え始め、とうとう1926年には27歳で単身アメリカへと渡る。アメリカでさらなる絵の勉強をするために彼女はカリフォルニア・スクール・オブ・ファイン・アーツに留学した。しかし、たまたま下宿先の近くにあった写真屋に立ち寄ったところコンソエロ・カネガ女史(Consuelo Kanaga 1894-1978)の助手になり、山沢の人生は一気に写真へと向っていく。当時のアメリカの写真界は、アルフレッド・スティーグリッツ(1864-1946)を中心にアメリカの近代写真勃興期でもあった。カネガ女史から人物の内面までも撮るポートレイトへの姿勢とライティング技術などを習得し、世界恐慌が起きる1929年に彼女は日本に帰国し、大阪に写真スタジオを開設する。本格的に写真を職業として活動を始めた。1930年代から40年代にかけて彼女はスタジオ写真や舞台写真をこなし、着実にキャリアを積むも、1955年にニューヨークへ取材旅行に行き、この頃からアブストラクト写真へと彼女の意識が変革していった。彼女の創作意欲は年を重ねても衰える事を知らず、1984年に大腿骨を骨折してしまいカメラを扱う事ができなくなっても。なお紙を用いたペーパーコラージュの作品も制作している。彼女はとにかく亡くなるまでその創作意欲の衰えない驚異的な好奇心の持ち主だった。
本書は1950年代後半から60年代初頭にかけて撮影されたモノクロームとアブストラクトなカラー写真で構成。ところどころには竹中郁(1904-1982)、安西冬衛(1898-1965)の詩も挟まれてレイアウトされている。2019年に生誕120周年を記念し西宮市大谷記念美術館と東京都写真美術館で大規模回顧展を開催したことで近年再評価の機運を上げた写真家の一人。カバー欠。

装幀・レイアウト:浜地和子
グラビヤ印刷:凸版印刷株式会社関西事業部
カラー写真版オフセット印刷:鶴身印刷株式会社
カラー写真版N-ダイレクト印刷:中田印刷株式会社
製本:大紙産業有限会社 梅本豊吉

出版社 publisher:未来社/Miraisha
刊行年 year:1962
ページ数 pages:120
サイズ size:H262×W230 mm
フォーマット format:ハードカバー/hardcover
言語 language:和文/Japanese
付属品 attachment:
状態 condition:表紙少汚れ。扉と奥付に蔵印あり。/slightly damaged on the cover, an owner stamp on the title page and colophon.
JPY 33,000
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