語るピカソ ブラッサイ著 飯島耕一・大岡信 訳

私は彼に一束の原稿を持って来ていた。何ヶ月か前、ちょっと片づけものをしているときに、私は「語るピカソ」と書かれた箱を発見した。それを読み返してみて、ピカソに見せたいと思った。彼はそれが私たちの会話だと知っても意外な顔をしない。彼はいつか、私の「マリー物語」や、占領下に、ある酒場で記録した話を読み、それらを好んでいた。
ピカソ―きみはほんとうにこれを全部記録しておいたのかね?すごいことだ!坐ろう、そして何ページか読んでくれたまえ......
彼のために、手当たり次第にえらんだいくつかの<訪問>を読む。20ページ、30ページと読む......彼はさらにつづけてくれるようにいう......注意深く、考えこみ、楽しそうに、彼はこの朗読に耳を傾け、ときおり何かの細部を私に教えたり、私をさえぎって話を補ったりする............ピカソは原稿の包みのうえに手をのせ、私にいう。
―これはきみの引掻きのいたずら描きと同じく、真実でほんもののことだ......ぜひ出版すべきだ......(見返し文より)

出版社:みすず書房
刊行年:1989年
ページ数:376ページ
サイズ:A5
フォーマット:ハードカバー
言語:和文
付属品:カバー
状態:小口少汚れあり。
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