ぼくが戦争に行くとき 反時代的な即興論文 寺山修司

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この東京の真ん中にいて『ロビンソン・クルーソー漂流記』のように生きてみたいと思うのはバカげたことだ、という人もいるかもしれない。しかし、ビルの乱立と人口の増加というのは、ただの統計学的な問題であって、私たちは百年前と比べて百倍もの「隣人」を持っているくせに、友情などというものに、ロマンチシズムを感じないようになってしまっている。だれでも心のなかに無人島を持っているからである。
ロビンソンは草の根を食べ、石と石をぶっつけて火を創るという、太初の記憶を呼び戻すことで人間らしさを回復したわけだが、私は今日の繁栄のなかで電気洗濯機とテレビに取り囲まれて、いつのまにか野性を失いかけているこの時代にーそして時代感情を反映して、背広など着てニコニコしている自分に腹が立ってきた。
そこで「無人島宣言」または「ロビンソン宣言」をして、しばらくのあいだ近代文明の便利さ、合理性から自分を切り離してみたいと思っている。(本文より)



出版社:読売新聞社
刊行年:1975年
ページ数:253ページ
サイズ:B6
フォーマット:ソフトカバー
言語:和文
付属品:カバー
状態:経年並みです。