没後20年 ルーシー・リー展 2015年 展覧会カタログ Lucie Rie: A Retrospective

1902年、生活の中に新しい芸術が香り、洗練されたデザイン感覚の息づくウィーンに、ルーシー・リー(1902-1995)は生まれた。幾何学模様の美を追求したウィーン工房ともつながりの深い、ウィーン工業美術学校に入学した彼女は、一般美術コースを取っていたが、陶芸の最初の授業で、ロクロの「とりこになってしまった」と語っている。卒業後も制作を続け、さまざまな国際展に入賞を果たし、着実に地位を固めていった。ところが1938年
、36歳の彼女は、ナチスの台頭によって、すべてを棄ててイギリスへ。戦中戦後の厳しい時代を、異国で一人、ガラス工房のボタン制作を手伝うことなどを余儀なくされる。最初の個展を開いた時には、すでに47歳になっていた。しかし、イギリスへ渡ったことは、彼女の転機でもあった。バーナード・リーチ(1887-1979)をはじめとする陶芸家たちと出会い、ドイツから逃れてきたハンス・コパー(1920-1981)と親交を結び、次第に彼女独自の世界を開花させていった。1990年88歳で脳梗塞に倒れるまで、ただただ一途にロクロに向かい続けた彼女は、大英勲章を受勲し、ニューヨークのメトロポリタン美術館でハンス・コパーとの二人展を開催するなど、陶芸界に多大な影響を与えることになった。生涯にわたる伴侶を持たず、規則正しく毎朝5時に起きて、陶芸の神秘に挑み続けた彼女は、芸術家と呼ばれることを拒み、「私は、ポットを作っているだけ」というのが口癖だったという。本書は2015年から2016年にかけて、茨城県陶芸美術館→千葉市美術館→姫路市立美術館→郡山市立美術館→静岡市美術館を巡回した大規模な展覧会のカタログ。2010-11年開催の『ルーシー・リー展』から五年がたち、新たな作品が見出され、前回以上の優作を多数含んでいるのが特徴。オーストリア応用美術・現代美術館で新たに発見されたリーの学生時代の作品5点を加え、大半が日本では初公開となった。

目次
ルーシー・リーのものの作り方 金子賢治
1 初期ーウィーン時代 1921-38年
2 形成期ーロンドン時代 1938-70年
3 円熟期ー1970-90年
「初期の器、モダンなものたち」
ルーシー・ゴンペルツの初期ウィーン時代(1921-26年)における制作とオーストリア応用美術・現代美術館所蔵の新発見作品 ライナルト・フランツ
ルーシー・リーのフォルムと技法 佐藤秀彦
関連年表
邦語主要文献
作品リスト

編集:茨城県陶芸美術館、日本経済新聞社文化事業部
デザイン:美術出版社 デザインセンター(森重智子、川添英昭)

出版社 publisher:日本経済新聞社/Nikkei Inc
刊行年 year:2015
ページ数 pages:317
サイズ size:H206×W205mm
フォーマット format:ハードカバー/hardcover
言語 language:和文/部分的に英文-Japanese/English in some parts
付属品 attachment:
状態 condition:経年並みです。/good.
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