イギリスの美術家ダミアン・ハーストの作品集。1997年にスイス・チューリッヒのギャラリー・ブルーン・ビショーフベルガー(Gallery Bruno Bischofberger)で開催された個展に合わせて出版されたもの。表紙の花の煌びやかなイメージとは対照的に、本文はただ白を背景にひたすら煙草の吸い殻の写真で収められている。度々死の象徴として煙草の吸い殻が入った灰皿などをモチーフにしているダミアンらしい1冊。1000部限定で直筆サインとナンバーが記された限定本。ブックデザインはイギリスのデザイナー、ジョナサン・バーンブルックが手がけている。ちなみに表紙のデザインと判型は、1968年にストックホルム近代美術館(Moderna Museet Stockholm)で開催されたアンディ・ウォーホル(Andy Warhol)の
展覧会カタログへのオマージュも含まれている。
Damien Hirst/ダミアン・ハースト
1965年ブリストル生まれ。幼少期をセックス・ピストルズなどのパンクに傾倒するほか、TV、映画など当時のイギリスの大衆文化にどっぷり浸かる。高校卒業後は就職せずにいたが、突然思い立ちリーズのジェイコブ・クレイマー・カレッジ・オブ・アートで1年間のファウンデーション・コースを受講。1984年にロンドンへ移住。1986年にロンドン大学ゴールドスミス・カレッジに入学。従来の絵画、彫刻といった専攻制度ではなく、"プロフェッショナルのアーティスト"を育てる教育を受ける。彼の美術家としての転機は大学2年生在学時にグループ展「フリーズ」を企画したことにある。ロンドン南東部、テムズ河近くのドックランズと呼ばれる埠頭地区の空き倉庫を会場に、16人の友人や同級生の作品を展示し、大きな話題となる。ハースト自らの営業活動、不動産業者からの会場提供、企業からカタログ制作費等の援助を受ける等彼自身オーガナイザーとしての能力を発揮したことでも知られている。大学の講師陣の人脈を利用し、重要なゲストをタクシーで迎えにいくなどの努力の末、ニコラス・セロータ(Nicholas Serota)、ノーマン・ローゼンタール(Norman Rosenthal)、チャールズ・サーチ(Charles Saatchi)など美術界の大物との知己を得る。1991年には全長13フィートのタイガー・シャークをホルマリン溶液を満たしたスチールとガラス製のケースに入れた作品「生者の心における死の物理的不可能性」を発表し、1990年代ブリティッシュ・アートの金字塔を打ち立てる。当時のハーストを始めとする同世代のアーティストたちはYBA(Yang British Artists)と呼ばれ国際的な注目を集めることとなる。以後スポット・ペインティングのシリーズ、レストラン&バー「ファーマシー」の開店、骸骨に8601粒のダイヤモンドをあしらった「神の愛のために」など多くの話題を提供する。1995年にはターナー賞を受賞。
写真:Mike Parsons
編集:Hugh Allan
デザイン:Jonathan Barnbrook
1000部限定ナンバー入り/Limited edition of 1000 with numbering
出版社 publisher:Gallery Bruno Bischofberger
刊行年 year:1997
ページ数 pages:
サイズ size:H268×W210mm
フォーマット format:ソフトカバー/softcover
言語 language:
付属品 attachment:
状態 condition:経年並みです。/good.