旅するシマ 嘉納辰彦 写真集 Tatsuhiko Kanou 沖縄写真家シリーズ 琉球烈像 第6巻

ウチナーンチュの生きる場所を<シマ>と呼ぶならば、それは世界中に遍在している。シマからシマへとウチナーンチュを訪ね歩いた写真家の軌跡は、いつしか沖縄の復興と再生の歴史を描き出していた。離島の静寂と市場の喧噪、受け継がれる祭祀とカウンター・カルチャー、そして遠く異国の地に刻まれた沖縄系移民の足跡。氏の代表的作品を集成する131点。(帯文より)
嘉納辰彦は1952年、真和志村栄町生まれ。栄町は那覇の郊外に位置する真和志村の一角で、戦後自然発生的に闇市が形成され、1949年には真和志村営の栄町市場が誕生する嘉納が生まれた頃の栄町は、そんな戦後の復興を果たした庶民のエネルギーの中で育った。近所にあった写真屋の主人の手ほどきで、嘉納は暗室に出入りするようになり、数え年で13歳の時にカメラを初めて手に入れた。1972年、沖縄の日本復帰直前に、パスポートを持ち東京写真専門学院(現東京ビジュアルアーツ)に入学。卒業後の1974年に沖縄に戻り、写真館に勤務するようになった。その後、玉城惇博が経営するフォート・アイで働いた後、当時、沖縄では珍しいフリーカメラマンとして独立し、雑誌などの仕事をするようになる。1976年8月、平良孝七の呼びかけで写真を志す若者たちが主体となって結成された沖縄初の自主ギャラリー兼写真集団「あーまん」設立に関わり、第三期までメンバーとして残る。1978年、嘉納は久高島で十二年に一度、五日間行われる祭祀「イザイホー」の撮影を体験する。当時写真製版を学ぶために下関の印刷所に勤めていたが、十二年に一度という貴重な祭祀を撮影したいということで仕事を辞め、久高島での撮影を体験した。この時のイザイホーがいまのところ最後のものとなり、以後、現在にいたるまで行われておらず、沖縄の写真家を揺さぶる写真史的事件のひとつとして語り継がれている。1980年代になり、平敷兼七と二人で写真誌「美風」を創刊し、沖縄各地、島々の拝所や祭りを撮影し、個展なども開催した。また1989年には沖縄系移民の二世、三世たちの背景を知るために、南米に渡り沖縄のボリビア移民のコミュニティーを撮影している。2010年にはボリビア、アルゼンチン、キューバのウチナーンチュ移民を追い続ける嘉納の作品を集大成した写真集『もうひとつのウチナー』を発行している。

目次
旅するシマ
解説 <さしんぬじゃー>の旅 新城和博
作品リスト

監修者=仲里効、倉石信乃
造本装幀=戸田ツトム

沖縄写真家シリーズ
第1巻 山田實 写真集「故郷は戦場だった」
第2巻 比嘉康雄 写真集「情民」
第3巻 伊志嶺隆 写真集「光と陰の島」
第4巻 大城弘明 写真集「地図にない村」
第5巻 石川真生 写真集「FENCES, OKINAWA」
第6巻 嘉納辰彦 写真集「旅するシマ」
第7巻 森口豁 写真集「さよならアメリカ」
第8巻 中平卓馬 写真集「沖縄・奄美・吐噶喇1974-1978」
第9巻 東松照明 写真集「camp OKINAWA」

出版社 publisher:未来社/Miraisha
刊行年 year:2011
ページ数 pages:145
サイズ size:H234×W259mm
フォーマット format:ソフトカバー/softcover
言語 language:和文/Japanese
付属品 attachment:カバー、帯/dust jacket,wraparound band
状態 condition:新品です/new
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