光と陰の島 伊志嶺隆 写真集 Takashi Ishimine 沖縄写真家シリーズ 琉球烈像 第3巻

伊志嶺隆は1945年、台湾で生まれ、戦後両親の故郷である宮古島に引き揚げ、5歳の頃に一家で那覇市に移り住んだ。高校卒業後に上京し、印刷会社に就職するも仕事は続かなかった。義兄の勧めで写真専門学院に入学し、日本デザインセンターの現像のアルバイトをしていたが、目標の定まらない日々を過ごす。伊志嶺が本格的に写真と向き合う事になったのは1969年に高梨豊の事務所で働き始めたことが大きい。高梨豊事務所ではプリントの技術を鍛えられ、写真について深く考えるようになった。1968年から69年は、思想のための挑発的資料として「プロヴォーク」が発行されていた時期でもあり、写真メディアが大きく変容し、沖縄の写真家たちも、自身の立ち位置を自覚的に撮らなければならない転換期に差し掛かっていた。1971年伊志嶺は東京から沖縄に帰郷し、琉球大学、沖縄大学、沖縄国際大学の写真部のメンバーを中心に組織された写真集団「ざこ」を結成した。「ざこ」は沖縄タイムス社の主催する総合展「沖展」写真部に対するアンチ集団という位置づけであったが、1972年の沖縄復帰により解散する。沖縄の日本復帰以後しばらくは多くの写真家が撮る対象を失ったかのように沈黙したが、伊志嶺もその例外ではなく1980年代半ばまで彼は写真を撮ることはなかったという。その間はただただ自問自答の日々を過ごしていた。再び伊志嶺を動かしたのは、1985年に「初國」の撮影のために来沖していた高梨豊であった。以後80年代中頃から90年代初頭にかけて彼は「西表炭坑」、「糸満売り」をテーマに向き合い、また1988年にはニコンサロンで初の個展「光と陰の島」を開催するなど精力的な活動を開始したが、1993年3月、伊志嶺は海をテーマとして琉球弧の人々を撮ろうとした矢先に、バイク事故で亡くなった。享年47歳。本書では深い森に沈む廃坑にニライカナイを重ねる「光と陰の島」、政治の季節の蹉跌を日常の風景に隠した「72年の夏」、ウミンチュのシマに神の往来の物語を甦らせた未完の遺作「海の旅人」より編まれた121点を収録している。

目次
光と陰の島
72年の夏
海の旅人
伊志嶺隆の光と陰 翁長直樹
光と陰、風景のなかに見たもの 友寄寛子
風の駅 伊志嶺隆小論 倉石信乃
作品リスト

監修者=仲里効、倉石信乃
デザイン=戸田ツトム+小林剛

沖縄写真家シリーズ
第1巻 山田實 写真集「故郷は戦場だった」
第2巻 比嘉康雄 写真集「情民」
第3巻 伊志嶺隆 写真集「光と陰の島」
第4巻 大城弘明 写真集「地図にない村」
第5巻 石川真生 写真集「FENCES, OKINAWA」
第6巻 嘉納辰彦 写真集「旅するシマ」
第7巻 森口豁 写真集「さよならアメリカ」
第8巻 中平卓馬 写真集「沖縄・奄美・吐噶喇1974-1978」
第9巻 東松照明 写真集「camp OKINAWA」

出版社 publisher:未来社/Miraisha
刊行年 year:2012
ページ数 pages:150
サイズ size:H234×W259mm
フォーマット format:ソフトカバー/softcover
言語 language:和文/Japanese
付属品 attachment:カバー、帯/dust jacket,wraparound band
状態 condition:新品です/new
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